勝敗のカギはロングスローか。
打倒青森山田へ尚志が示す福島プライド

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 今年のチームでの対戦経験は、およそ1年前。「(新チームの)新人戦で対戦し、0-1で敗れている」と大川。だが、キャプテンは「負けたけど、感触として悪い流れではなかった」と振り返る。

 尚志はここまで、難敵相手に接戦を制して勝ち上がってきただけに、青森山田相手にも試合終盤まで競った展開に持ち込みたいところだ。

 そんななか、青森山田の強力攻撃陣を迎え撃つ、センターバックのDFフォファナ・マリック(3年)が、「青森山田は個々のレベルが高く、セットプレーがすごく強い」と語るように、勝敗のカギを握りそうなのは、セットプレー。なかでも、ロングスローだ。

 青森山田は準々決勝の矢板中央(栃木県)戦で、1点を先制されながら、ロングスローから2ゴールを挙げ、逆転勝ちを収めている。フォファナは「集中を切らさず、ひとつはね返したあとのセカンドボールにもしっかり対応したい」と警戒を強める。リスタートからの失点を防ぐことができれば、接戦に持ち込める可能性は高くなるはずだ。

 尚志は、青森山田のように傑出した選手はいないものの、総じて技術レベルは高く、どこからでもチャンスを作れる。エースストライカーのFW染野唯月(いつき/2年)が、準々決勝の帝京長岡(新潟県)戦でワンチャンスを生かした決勝点を叩き出すなど、今大会好調なのも心強い。

 大一番に向け、大川が語る。

「同じサッカーなので、やることは変わらない。いつもどおりやるだけ。青森山田は中盤の1対1で厳しく、気持ちを見せてくるチーム。気持ちで負けてはいけないが、(頭は)冷静にやりたい」

 尚志は青森山田を破り、福島県勢初の決勝進出を果たせるのだろうか。

 7年ぶりに立つ準決勝の舞台は、東北チャンピオンの実力を示す場であると同時に、福島の元気を全国にアピールする場でもある。

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