新潟県勢初の頂点へ。帝京長岡「美しく勝つサッカー」への挑戦は続く (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 帝京長岡のスタイルは、大まかに言えばポゼッションサッカーだ。ショートパスをテンポよくつないで、相手ゴールに迫っていく。

 しかも、必要以上に横パスを使わず、前方向への進みがいいから、見ていてフラストレーションがたまらない。準々決勝でも、1点をリードして守備を固める尚志に対し、手詰まり感を漂わせるようなパス回しはほとんど見られず、尚志が築く砦を強引にこじ開け、際どいシュートを何本も放った。

 狭いスペースに縦パスを打ち込み、あえて局地戦を挑む。そんな戦いぶりは、日々の練習で磨き上げた足もとの技術を誇示するかのようだった。昨夏のU-18全日本フットサル選手権を制した実績が、帝京長岡の武器を端的に表している。

 攻撃の組み立てにおいて、中心的な役割を担うMF田中克幸(2年)が語る。

「見ていて面白く、また見たいと思ってもらえるサッカーを目指している。相手のプレスがハマったように見えても、実はハマっていない。空いているところは絶対にあるし、必ずウラを取れる。相手をよく見ていれば、相手が何枚来ていても(プレスを)はがせると思ってやっている」

 実際、1点を追う後半の攻撃には迫力があった。エースストライカーのFW晴山岬(2年)が、「入ったと思ったシュートは何本かあった。(試合中も)崩せていると思っていた」と語ったように、相手守備を完全に崩し切ったチャンスは何度かあり、帝京長岡の控え選手が思わずベンチから飛び出すシーンもあったほどだ。

 結果的に同点に追いつくことはできなかったが、「後半は誇らしいサッカーをしてくれた」とは古沢監督の弁。準々決勝に限らず、1回戦からの4試合を通じて、帝京長岡の痛快なサッカーを堪能した人は多かったのではないだろうか。

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