ジュビロ名波監督が明かす、川崎戦のあとの「尋常じゃない1週間」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・構成 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 だから、川崎戦のあと、日曜、月曜日と2日練習を休みにしたんだけど、自分は家の中にとどまったまま。リビングに布団を敷いて、そこからほとんど動かなかった。外には一歩も出たくなし、サッカーからも離れたかった。それで、テレビでドラマを見たり、お笑い番組を見たりして、サッカーのことを忘れて気持ちを切り替えようとするんだけど、どうしても(川崎戦の)2失点目が頭から離れなくて。15分置きぐらいに、その光景が脳裏によみがえってきて......。

 家族もそんな自分には話かけられないから、きっと子どもたちには気を遣わせてしまったと思う。

 それで、ようやく月曜日の夜になって、ヴェルディの試合の映像を見始めた。ただ、最初に言ったけど、一番に考えていたのは、気持ちをどう切り替えていくか、チームとしてね。どういうふうに(選手に)声をかけて、どういうふうに盛り上げていけばいいか、そのことを重点的に考えていた。そして、いろいろと理由はあったんだけど、ヴェルディとの試合までの練習は完全非公開にして、チームを立ち直らせることを第一に考えて思いっきり舵をきることにした」

――気持ちを切り替えるとともに、ヴェルディ対策も練っていたと思うのですが、どういった戦い方をしようと考えていましたか。

「ヴェルディは人が密集するところにおいても、テクニックを駆使しながら相手をいなしてパスをつないでくるチーム。J2の中ではボール扱いがうまいチームなわけだけど、ウチとしてはその相手のファーストチョイスを消しながら、(ボールホルダーに)積極的にアプローチしていこうとした。

(練習では)そこを意識しながら、狭いエリアでのトレーニングから始めて、徐々にゲーム形式にして、守備のアプローチを行なっていった。そこには、年間を通して取り組んできた積み重ねもあったけどね。

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