神戸リージョ監督が日本代表を語る。「条件次第でスペインにも勝てる」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

 実際、神戸の選手たちは確実に成長を示している。たとえばユウタ(郷家友太)は、(ディフェンスで相手の体とボールの間に)足を入れられるようになったし、ヨシキ(松下佳貴)はターンが速くて、尻や腿は筋肉がつき、そのフィジカルの強さを生かせるようになってきた」

 リージョはそう言って笑顔を見せ、日本サッカーの肯定的な未来を展望した。そして、自らの意志でピッチを闊歩し、自由にプレーを創り出せるようになるほどに覚醒する条件について、このように語っている。

「90分間の戦いでは、『しょうがない』という考え方を捨てないといけない。失点したら心を痛める。それが強さを生み出す。アンドレス(・イニエスタ)は穏やかな性格だから、『勝てなくてもしょうがない』ように見えるかもしれない。でも、そんなことは決してないんだよ。負けたとき、彼は"恥"を感じている。誇りを傷つけられているのさ。ふざけるな、とフラストレーションを表現しないだけでね」

 リージョは、神戸の選手の熱を引き出すことで、短期間でチームを変革させた。チームカラーが強く出るようになった。簡単にボールを失わなくなったし、容易に敵を侵入させず、得点の形を生み出しつつある。

 いつか、リージョが日本代表を率いることになったら――。それは現時点では、妄想でしかない。しかし無冠の神戸を変革することができたとき、それはにわかに現実味を帯びるはずだ。

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