鹿島、リーベルに大敗。だが内容はレアル戦よりはるかによかった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by REUTERS/AFLO

 開始10分。CKを得た鹿島は、遠藤康のキックに犬飼智也がニアに飛び込み、ファーサイドで待ち受けるチョン・スンヒョンがこれをプッシュ。ゴールは決まったかに見えた。相手GKヘルマン・ルクスがダメもとで伸ばした手に当たり、ボールはラインを割らなかったが、これなどは偶然の産物と言いたくなるセーブ。運のなさを嘆きたくなるシーンだった。

 しかし、追い込み型の鹿島にとって、0-1はけっして悪いスコアではない。もっとも強さを発揮する状況かもしれない。押され気味な状況を好むというか、居心地のよさを感じながらペースを回復していく、珍しい気質が鹿島にはある。実際、試合の流れは、徐々に鹿島に傾いていった。

 最大の見せ場が訪れたのは前半44分だった。左サイドでボールを受けた19歳の小兵、安部裕葵が細かいステップで密集を縫うようにドリブルを開始。4人目をかわしたところで放ったシュートは、DFハビエル・ピノラの必死のブロックにあったが、そのこぼれ球に反応した安西幸輝のシュートはそれ以上に惜しかった。

 クロスバー直撃弾。前半終了間際にこれが決まり1-1で後半に突入していれば、試合は大接戦になっていたに違いない。

 もうひとつのビッグチャンスは後半18分、セルジーニョのパスを受けDFの背後に飛び出した土居聖真のプレーだ。対峙するDFを、深々とした切り返しで置き去りにした状態で放った右足のシュートだ。GKヘルマン・ルクスのセーブに屈したが、鹿島がまだまだ行ける状態にあることを示すゴールだった。

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