転換期のJリーグ。福田正博はクラブの「哲学」と「継続」を評価 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by AFLO

 この取り組みは継続しなければ補強の成果が一過性のものに変わってしまうだけに、新しい風を吹かせ続けるためにも、来季は一定の結果を残すことは大切だ。神戸が今冬にどんな選手を獲得するかを興味深く見ていきたい。

"クラブ哲学"にヴィッセル神戸は投資し始めたところだが、その大切さを示してくれたのが、J1リーグ連覇の川崎フロンターレであり、ACL優勝の鹿島アントラーズだった。

 今季の鹿島にとって大きかったのは、ジーコさんがテクニカルディレクターとしてクラブに戻ってきたことだろう。鹿島に根付いている"クラブ哲学"を植え付けた人であり、ブラジル・サッカー界のレジェンドが、鹿島のブラジル人選手を一気に蘇らせたと言ってもいい。

 鹿島が結果を残す時は、いつもブラジル人選手の活躍があった。彼らが機能することで日本人選手がさらに輝く。それが伝統的な鹿島のチーム作りだが、昨年はブラジル人選手が期待したほど機能しなかった。

 それが、ジーコさんが復帰した今季は、ブラジル人選手が活躍。レオ・シルバのパフォーマンスは明らかに昨年よりも上がった。ジーコさんの薦めでシーズン途中に獲得したセルジーニョもACL制覇のキーマンになった。

 また、忍耐強くターンオーバー制を敷いたことも、タイトル獲得につながったと言える。シーズン序盤からACLでは結果を出しながら、リーグ戦で思うように勝ち点が積み上げられなかったが、ターンオーバー制を簡単にあきらめなかったことが、選手たちを成長させ、シーズン後半になって結果に表れた。そうしたブレない姿勢こそが、鹿島がJリーグ創成期から"常勝クラブ"であり続ける理由だ。

 Jリーグが混戦になる理由としては、クラブ間の戦力差が小さいことがあげられる。各クラブの予算を比べれば、欧州リーグほどの格差はない。そのため、神戸を除けばレベルの高い選手を揃えるのが難しく、戦力は「どんぐりの背比べ」になりがちだ。その結果として、守備をベースにして、前線に得点力のある外国人を配置するチームが増える傾向にある。

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