コスパで今季Jリーグを総括。真の優良クラブはどこだったのか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 近年のJリーグで"2強時代"を形成しつつある川崎Fと鹿島は、コスパ的に見ても問題ない。J1リーグで2連覇を達成した川崎Fはこの結果、賞金を総額37億円(18.5億円×2年)得た。3年の分割払いなので、すでに全額を手にしたわけではないが、資金はどのクラブより潤沢だ。17年2位、18年3位の鹿島も賞金を総額12億円以上、手にした計算になる。

 ちなみにこの12億円強という金額は、先述のように長崎の2017年1年分の営業収入を上回る。そう考えれば大金だ。その使い道は明示されるべきだろう。こちらは試合で得た賞金でもある。スタンドを埋めたファンとともに勝ち取ったものだ。できれば彼らに見える形で返したい。内部留保は避け、大物選手の獲得資金に回すべきではないか。

 だが両クラブは特段、大物を獲得していない。鹿島がテクニカルディレクターのジーコにどれほど支払っているか定かではないが、地元のメディアが、獲得賞金の使い道に迫る報道をしたという話は聞かない。このあたりについてうるさい欧州の地元メディアとの大きな違いを見る気がする。

 名古屋のメディアは、グランパスの成績はもちろん、コスパについても、もっと厳しい目を向けるべきだろう。それがサッカー的な視点というものだ。

 真の優良クラブはどこなのか。駄目クラブはどこなのか。名古屋は15位で残留し、長崎は18位で降格した。だが、これが逆になっていた方が、そうした視点の広がりには貢献した気がする。

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