5度目の頂点に立った広島ユース。この功績をトップはどう生かすのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 だからこそ、6年ぶりに日本一の座に就いたユース世代をはじめとする、若手が果たすべき役割は、否が応でも大きくなる。

 広島ユースのキャプテンにして、すでにプロ契約を結び、トップチーム昇格が決まっているMF松本大弥が語る。

「今年のトップ(チーム)はベテラン中心で平均年齢が高かった。日本代表でも森保監督が『(世代間の)融合』と言っているように、サンフレッチェでももっと若い選手が試合に絡まなければいけない。そうなれば、チームに勢いがつくと思うし、自分たちが活躍していかないと。来年は(1年目でも)そのつもりで挑戦したい」

 ともに来季からトップチームに加わる、松本とMF東峻希は「夏からずっとトップの練習に参加していた」と沢田監督。「彼らがトップの(練習で身につけた)スピードと重みみたいなものを(ユースの練習で)ぶつけてくれた。ユースだけなら、ここまでできなかったのではないか」と、頂点にたどり着いた要因について語るが、今度は彼らがトップチームを刺激する番だ。

 J1では来季から、外国人選手の登録枠が撤廃(出場は5人まで)される一方で、ホームグロウン制度が新たに導入される。制度の詳細についてはここでは省くが、簡単に言えば、自前のアカデミー(育成組織)出身の選手か、高卒新人の選手を、一定数登録することが義務づけられるというものだ。これから先、各クラブのユースチームが、今まで以上に重要な役割を担うことになるのは間違いない。

 6年ぶりに日本一を奪還した弟分の活躍が、かつては育成力を武器にしながら、現在、大きな転換期に差し掛かっている兄貴分を、どれだけ刺激することができるのか。

 来季の広島に注目である。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る