2018.12.17

5度目の頂点に立った広島ユース。
この功績をトップはどう生かすのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 とはいえ、最近の広島のトップチームを見ていると、ユース年代の充実ぶりがうまく生かされていないように感じてしまう。

 広島は、長らくミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現コンサドーレ札幌)が率いて攻撃的なスタイルを確立したあと、森保一監督(現日本代表)が前任者の築いた土台を生かしたうえでディフェンスを整備し、広島を勝てるチームに仕上げた。長期的視野に立った強化の成果が、2012年からの4シーズンで3度のJ1優勝である。

 その間には、森﨑和幸、森﨑浩司、高萩洋次郎(現FC東京)、森脇良太(現浦和レッズ)、野津田岳人(現ベガルタ仙台)といった広島ユース出身者が活躍。その他にも青山敏弘、清水航平(現ヴァンフォーレ甲府)、浅野拓磨(現ハノーファー/ドイツ)といった、高卒の生え抜き選手が主力を成しており、いわば"育成力"をトップチームの強さにつなげていた。

 ところが、昨季途中、成績低迷によって森保監督がクラブを離れると、志向するサッカーは大きく転換。広島の代名詞だった3-4-2-1は、4-4-2や4-2-3-1へと形を変え、その中身も、相手の守備網を広げながらじっくりとパスをつないで崩すものから、縦へ速く攻める現実的なスタイルへと変化していった。

 変わったのはスタイルだけではない。ピッチに立つ選手の顔ぶれを見ても、広島の武器だったはずの育成力は次第に弱まり、他クラブからの移籍組が中心に。と同時に、ベテラン選手が多くなったことで、今季は先発メンバー11名の平均年齢が30歳を超えることも珍しくなかった。

 Jリーグのみならず、世界的な常識に照らしても、平均年齢30歳超はちょっとした異常値。今季のJ1で開幕当初から首位を独走していた広島が、ラスト9試合で6連敗を含む7敗2分けと急失速し、易々と川崎フロンターレに逆転優勝を許したことと無関係ではあるまい。

 ベテラン頼みの現実的なスタイルは、昨季の15位から今季の2位へと、順位のうえでは大きな成果を挙げたものの、すでに限界が見えている感は否めない。