レアルとの対戦を振り返る植田直通。
善戦との評価は「本当に嫌だった」

  • 寺野典子●文 text&photo by Terano Noriko

 鹿島復帰後最初のシーズンとなった今季。負傷やコンディション不良を繰り返し、連戦に耐えたのは2か月にも満たなかった。

「これじゃあ、帰ってきた意味がないよ」

 内田が吐き捨てるようにこぼしたのは、ホームでのACL決勝戦前日だった。悲願のアジア王者に繋がる道程で、水原三星戦では貴重なゴールも決めている。それでも、「4つのタイトルを獲るために」とドイツから帰還した男にとって、この結果だけでは満足とはほど遠い。結局、国内タイトルはいずれも手にできなかった。

 短期決戦を走り切り、クラブW杯決勝戦を目指す。今季最後の戦いで内田篤人は自身の存在価値を証明する。そんな意欲が彼の奥底に隠されているはずだ。

「こういう賞をいただけて、本当に嬉しいですし、光栄です。でも自分は満足していない。もっと得点という『数字』を残したい」

 この日、Jリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞した安部裕葵。目に見える結果、ゴールへの意欲は消えない。

 タイトル、そしてゴール。

 飢えた男たちの意地に期待したい。

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