格差は拡大か。2018年の結果から考えるJリーグの「未来予想図」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Getty Images

 Jリーグ26年の歴史を振り返ると、最初に"クラブとしての哲学"を持ってチーム運営をしてきたのは鹿島アントラーズだった。Jリーグ元年に向けてジーコさんを招聘して以来、彼らは"勝利"に貪欲なチームを作ってきた。そして、川崎や広島も、鹿島とは違う哲学を持ち、それを貫いてきた。だからこそ、この数年間で何度も好成績を残せていると言える。

 もちろん、浦和レッズのように、そのスタイルを様々に変えながら結果を追い求めるのも、クラブとしてのひとつの在り方だろう。ただ、クラブ哲学を持って長期ビジョンを描き、そのうえでそれを実現するための短期・中期の課題にも取り組むアプローチで、資金面も強化していくクラブの方が、安定した成績を残せるはずだ。

 だからこそ、ヴィッセル神戸は新たな哲学を持って補強を進めているのだろうし、元Jリーガーの野々村芳和氏が社長をつとめるコンサドーレ札幌もミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招いて、先を見据えた強化に取り組んでいる。

 すべてのクラブが同じ哲学である必要はない。だが、欧州の主要リーグのようにヒエラルキーが明確なものへとJリーグも変貌しつつあるなかで、生き残っていくためには各クラブがそれぞれのカラーを鮮明に打ち出すことは必要不可欠になってくるだろう。来季からは外国人枠が大幅に見直されるなど、各クラブが特色を打ち出せるルールに変更される追い風もある。

 来季もまだJリーグの順位争いは混戦模様になる可能性は高い。だが、5年後、あるいは10年後の"その先"を見据えたチーム作りとクラブ運営という点においては、今季以上にクラブ間に大きな差をもたらすシーズンになるのではないか。

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