格差は拡大か。2018年の結果から考えるJリーグの「未来予想図」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Getty Images

 また、8月末の時点で最下位だったガンバ大阪は、9月からの10試合を9勝1敗と一気に盛り返した。もちろん、チームを立て直した宮本恒靖監督の手腕は見逃せないが、ガンバ大阪が驚異的な成績で駆け抜けて最終的に9位になれたのは、降格圏組と上位陣に大きな力の差がなかったからでもある。

 歯車がひとつ噛み合えば連勝し、ズレると連敗街道というのも今季のJリーグの特徴のひとつだった。前半戦に8連敗するなど最下位だった名古屋は、W杯ロシア大会の中断期間に大型補強をし、リーグが再開した夏場には7連勝をマークして持ち直した。ただ、その後終盤10試合は3勝1分6敗と苦戦が続いたことで、最後まで残留争いに巻き込まれることになった。

 しかし、Jリーグがこうした"力の差のないリーグ"であるのも、あと数年のことかもしれない。Jリーグは誕生から2016年までは『護送船団方式』とも言えるような全クラブをほぼ均等に保護するような方策だったが、昨シーズンからDAZNと大型放映権契約を結んだことで、その流れに変化が出てきそうだ。

 現状は転換点であるため上位と下位との間に大きな隔たりはないが、上位クラブは巨額の賞金を手にできるシステムに変わったため、今後は埋めがたい差があるリーグに変貌していく可能性は十分ある。

 実際、川崎は昨季の獲得賞金を将来への投資に使い、今季の優勝でさらなる投資が行なえる。来シーズンだけではなく、中長期的な展望に立った強化・育成を進められるメリットは非常に大きい。そして、ここでの差が、将来的に資金力のある少数のビッグクラブと中堅以下のクラブという構図を作り上げる。

 その点において目立った動きをしているのが、ヴィッセル神戸だ。昨季の元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキに続いて、今夏には元スペイン代表のアンドレス・イニエスタを獲得した。さらに、来季からは元スペイン代表のダビド・ビジャの加入も決定している。ACL出場権獲得を目指したリーグ戦では10位とふるわなかったものの、彼らが"バルセロナ化"を進めるのは、目先の結果だけではなく、遠い未来を見据えたときに国内で揺るぎない存在になることを目指しているからだ。

 さらに、指揮官にはスペイン人の名将、フアン・マヌエル・リージョ監督をシーズン途中から招聘。そうしたブレないビジョンでチーム作りを進めており、補強にも余念がない。神戸が来季以降のJリーグの中心的存在になっていくはずだ。

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