西大伍が考える鹿島の良さは「自分たちのサッカーに縛られない」 (3ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

 2017年Jリーグ最終節対ジュビロ磐田戦。そのシーズン30試合目の出場となった西大伍は、開始14分で負傷交代している。全治半年とも言われる大きなケガを膝に負った。勝てば優勝が決まったが、結局試合はスコアレスドローで終わり、鹿島アントラーズは優勝を逃した。その試合後、沈痛な面持ちで取材を受ける選手たちの側で、西が気丈に振舞っていた。

「勝てなかったのは、負傷交代してしまった自分に原因がある。自分の責任だ」と、当時と変わらぬ口調で今もきっぱりとそう断言する。勝敗の行方など誰にも想像はできない。それでも、そう言い切る西の姿に彼の自信と担った責任の重さが伝わってくる。西の秘めた覚悟が伝わってくるのだ。

試合に勝ってこそ楽しいと語った西大伍試合に勝ってこそ楽しいと語った西大伍

――今年3月に試合に復帰しましたが、非常に早い回復でしたね。

「そうですね。想像以上に順調でした。でも、1カ月以上離脱するというのは、プロになってから初めての経験だったので、本当にいろんなことを考える時間でしたね。キャンプにも行けずに、鹿島でずっと休みなくリハビリでしたから。孤独というか、自分と向き合うしかないので(笑)。でも、怪我をしてよかったと言っていいのかわからないけれど、リハビリ中に新しい出会いもあったし、身体のケアについてもいろいろと学べたので、有意義な時間でもありました。膝が本当に完治するまでには、数年かかると思うので、今も身体のケアについては、ハマっています。もともと好きなんですよ、そういうのが。いろんな人から様々な情報をもらい、良さそうだと思ったら試してみる。とにかく自分のなかで、正解を決めないんです。『これが正しい方法だ』と思った瞬間に、その考えはダメだなって思ってしまうので。それに縛られたくないんです」

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