J1参入プレーオフを読み解く。
磐田優位もスペインの名将は不敵に笑う

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara/Getty Images

「今は守備が大事」

 終盤、選手たちが口々に言い、チームとして舵を切ったことで、どうにか勝ち点を積み上げた。第30節からの4試合は2勝2分けで、失点はわずか2。しかし最終節は川崎フロンターレに逆転負けし、J1参入プレーオフに回っている。

 東京V戦、磐田はじりじりとした"受け身戦術"に持ち込むのがひとつの常道だろう。無理をせず、相手を待ち受け、誘い込む。そこで田口、山田はカウンターの起点になれるし、大久保、川又は仕留める力を持っている。

 しかし、終盤まで0-0で試合を推移させることは危険をともなう。

 スペインの名将ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いる東京Vは、とにかくしぶとい。J1参入プレーオフ1回戦の大宮アルディージャ戦では、10人の数的不利に陥りながら、後半途中のセットプレーで決勝点を決めた。横浜FC戦は、後半アディショナルタイム、CKを攻め上がったGK上福元直人が頭で合わせ、そのこぼれ球を途中出場のFWドウグラス・ヴィエイラが押し込んで勝利している。

 ロティーナ監督はJ2でも戦力的には中位程度のチームを、トレーニングによって鍛え上げた。ポジションを守る感覚を選手に浸透させ、球際での激しさも高めている。そのおかげで、派手さはないものの、堅実な戦いができるようになった。

「いい守備がいい攻撃を作る」

 スペインサッカーの"定理"を守り、あと一歩のところまで来た。

 また、ロティーナには千里眼のようなものがあって、交代策を打つことで局面を動かすことができる。

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