天皇杯準決勝敗退も、今季は改めて鹿島というクラブの凄さを痛感した (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 象徴的なのが、J1第31節のセレッソ大阪戦、第32節の柏レイソル戦の2試合だ。

 セレッソ戦の3日後にはACL決勝第1戦が、柏戦の4日後には同第2戦(しかも、イランでのアウェーゲーム)が控えていたため、鹿島はそれまで以上に主力を温存。DF町田浩樹、DF小田逸稀、MF田中稔也、FW久保田和音といった、今季リーグ戦出場が10試合にも満たない若手選手が数多く起用された。勝負は度外視、とまでは言わないまでも、出場メンバーを決めるにあたり、大岩剛監督にもそれなりの覚悟はあったはずだ。

 ところが、鹿島はこの2試合に連勝。とりわけ柏戦では、先制後に一度は逆転されながらも、どうにか引き分けに持ち込むどころか、3-2で勝ち切ってしまったのである。最終的に鹿島がJ1で、4位と勝ち点1差の3位に入り、来季ACLの出場権を確保したことを考えれば、あまりに価値ある勝利だった。

「試合に出る、出ないにかかわらず、すべての選手がこの試合に向けて準備してきた。チームの一体感が試合を追うごとに大きくなっていると実感している」

 柏戦後、大岩監督はそんなことを話していたが、国内タイトルの試合がすべて終わった現在、指揮官は今季の成果として、改めて強調したのも「一体感」だった。

「今季前半戦は苦しい戦い(中断前の第15節終了時点で11位)だったが、ワールドカップの中断期間を経て、一体感が出てきた。誰が出ても活躍できたのは日頃のトレーニングの成果。それをおろそかにすると、チャンスは巡ってこないというチーム内の競争があるなかで、選手は成長し、一体感あるチームになっていった」

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