羨望の布陣。ビジャ加入が神戸にもたらす絶大な効果 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by KYODO

 グアルディオラの師匠であるリージョも、ナルシズムの強いストライカーを嫌うところがある。その点、ビジャなら申し分ない。リージョは監督就任以来、ルーカス・ポドルスキの得点力を引き出すようなチーム編成をしてきたが、ビジャの得点力は明らかに上。今後はビジャとポドルスキの波長を合わせつつ、そこに日本人アタッカーを組み入れる形になるだろうか。
 
 ビジャは中央でもサイドでも能力を発揮できる。事実、バルサでは左FWとしてコンビネーションを創り出し、得点を量産していた。ピッチのどこにいても、最善の判断を下せるインテリジェンスを持ちあわせている。

「僕は立ち塞がる敵を恐れることはないよ。敵は成長させてくれる存在だから。苦手なディフェンダーというのもいない。だって、それは自分を変えてくれるすばらしい好敵手だからさ」

 ビジャはそう言うが、対応するディフェンダーにとってはたまらないだろう。

 まさに天性の点取り屋で、ピッチのどこからでもゴールを狙える。ミドルシュートやサイドから切り込んでの一発は強烈で、GKとの1対1を得意とし、大柄ではないがヘディングも巧みだ。なかでもPKは特技で、リーガ・エスパニョーラ史上最高のキッカーと言える。度胸満点で、冷静さを失わない。

 なにより神戸では、バルサ、スペイン代表で長年、パートナーだったアンドレス・イニエスタのアシストを受けられる。ビジャとイニエスタのホットライン。それは、世界中が羨む風景だ。

 ビジャが失敗する可能性を探す方がよほど難しい。

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