羨望の布陣。ビジャ加入が
神戸にもたらす絶大な効果

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by KYODO

「(今シーズン、監督に就任して以来)日本人選手は着実に成長を示している。来季も彼らが中心になるだろう。ただ優勝を考えたとき、センターフォワードはワールドクラスが必要だろう。シーズン25得点以上を計算できるような......。すでに、目星はついている」

 ヴィッセル神戸のフラン・マヌエル(ファンマ)・リージョ監督は、不敵な眼差しでそう洩らしていた。

 その数日後、元スペイン代表FWダビド・ビジャ(ニューヨーク・シティ)の獲得が発表されることになった。

 楽天の三木谷浩史会長兼社長と会見に臨んだダビド・ビジャ 楽天の三木谷浩史会長兼社長と会見に臨んだダビド・ビジャ ビジャはJリーグで神戸を優勝に導くような活躍ができるのだろうか?

 まず、ストライカーとしてのビジャの実力に、疑いの余地はない。36歳で挑んだ2018年シーズンは、ケガでの欠場がたたって、26試合出場15得点に終わった。ただ、この得点率でも"低迷"に見えるほど、圧倒的な数字を残してきた。2001年にプロデビュー以来、ほぼ毎シーズン、20得点以上を記録してきたのだ。37歳になったといえども、ゴールゲッターとしての能力は保証書付きと言える。

 そして瞠目すべきは、「点取り屋にありがちなエゴがない」という点だろう。
 
 ビジャは独善的なプレーをしない。守備の決めごとは守るし、味方のためにスペースを作るような動きもする。チームプレーを重んじ、献身的に働きながら味方を生かすと同時に、自分のプレー=ゴールを見せられるのだ。

 ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)は、我の強いセンターフォワードタイプの選手を好まないことで知られる。事実、サミュエル・エトー、ズラタン・イブラヒモビッチ、マリオ・マンジュキッチらとは仲違いすることになった。そのグアルディオラがバルサ監督時代、FWとして全幅の信頼を寄せていたのが、ビジャなのである。

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