横浜FCのアディショナルタイムの悪夢から学ぶ「サッカーの本質」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 アディショナルタイムにゴール前に抜けだした瀬沼優司のシュートは、わずかにポストの左側に逸れる。逆に東京Vの最後のコーナーキックの場面、攻撃参加してきたGKの上福元直人のヘディングシュートを、南が懸命にストップしたものの、こぼれたボールの先には、東京Vのドウグラス・ヴィエイラの足があった。勝負の分かれ目は、たったそれだけの違いである。

 横浜FCにもうひとつ誤算があったとすれば、ファウルを与えすぎてしまったことだろう。

「ファウルが多い、中断の時間が多い試合になりました。ファウルが多かったことで、継続的にプレーするのが難しかった」

 東京Vのロティーナ監督が振り返ったように、ファウルで試合を止め、リズムを断ち切ったという意味では、横浜FCの勝ちだった。しかし、ファウルや接触プレーが増え、選手が傷んで時間が止まる機会も多かった。その結果、アディショナルタイムは7分。東京Vに反撃の猶予を長く与えてしまったことが、結果論ではあるものの、90+6分の失点につながってしまった。

 もっとも、横浜FCのタヴァレス監督は、問題はそこにはなかったという。

「7分という時間の問題ではなかった。仮に(アディショナルタイムが)10分あれば、10分のところで決められたと思っています。問題は自分たちがチャンスを作りながら、決め切れなかったこと。それによって、最後に報いを受けた」

 これもまた、サッカーの本質だろう。

 チャンスを逃し続ければ、潮目は変わる。残酷なまでの現実が、横浜FCの12年ぶりとなるJ1昇格の夢を砕いた。

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