鹿島以前はMFだった西大伍。「中盤でプレーしたい欲は消えない」 (2ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

「聖真くんが決めているし、自分も何か残さなくちゃいけない。本当はゴールを決めたかったけど......」

 仙台戦で2点目の安西幸輝のゴールをアシストした鈴木優磨は、自身が負傷離脱していた天皇杯準々決勝ヴァンフォーレ甲府戦で唯一の得点を決めた土居聖真の名前を挙げた。エースと言われる鈴木であっても、競争という危機感を持ち続けている。実はこのアシストの前に鈴木は決定機を外している。しかし、気持ちを切り替え、自身ではなく、チームの結果を優先した。「チーム一丸となって」という監督の想いがピッチで表現されていた。

「外したあとならば、自分で決めたいという気持ちも強かったはず。でも、チームのためのプレー、最善のプレーを選択できたのは、優磨が成長しているということ」昌子の言葉が鈴木への信頼を物語っていた。

 12月1日最終節。対サガン鳥栖戦。

 ハードワークが持ち味の相手との試合は難しいものになるだろう。しかし、息をつく暇はない。札幌で行われるコンサドーレ札幌対サンフレッチェ広島戦の結果次第では2位に入る可能性を残しているが、自分たちが勝たなければ話にならないからだ。そして、この勢いで天皇杯を獲得し、クラブW杯に向かいたい。

 大岩監督は仙台戦当日にはこうも言っている。

「常に前を向いて、上を目指していかなければいけない。停滞は後退と同じだ」

 昨季は終盤に勝てず、優勝を逃した。過去を越えていくことは、悲願のタイトル獲得だけではない。ACL優勝という目標を達成したが、そこで達成感を抱くわけにはいかない。自分たちの進化を示すには、連勝でシーズンを終えることが重要だからだ。

「リーグ終盤に強さを発揮するのが鹿島。去年はそれができなかった。だから、ここから落ちないというのを証明したい。アジアを獲ったことで、変な試合はできないという気持ちがいい方向へ向かっている」昌子が語った。

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