監督交代後に練習方法を変えた鳥栖、トーレスのゴールで残留に光明 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by KYODO

「鳥栖が前から来るのはわかっていた。そこをいかにはがすか、というのがミッションでしたが......。そこは失敗だった」(横浜FM・伊藤翔)

 しかし、イニシアチブをとっている時こそ、サッカーは落とし穴がある。鳥栖は攻めながら決定機が少なかったこともあって、前半29分、まるでひと休みしたように、自陣でたやすく相手ボールにしてしまう。左サイドは数的には足りていたが、ポジション的には劣勢。横浜FMに先手を奪われるパス出しをされ、最後はマイナスの折り返しを伊藤に蹴り込まれた。

 ただ、鳥栖は大観衆に背中を押されるように、気持ちが挫けなかった。

「1点獲られてからも、ライン全体が下がることなくプレーできた」(鳥栖・高橋祐治)

 鳥栖はトーレスが右へ流れ、ファーポストに精度の高いクロスを送って、小野裕二が合わせる。また、左サイドから福田晃斗のクロスをトーレスがヘディングで狙う。カウンターを浴びることはあったものの、"前から"という姿勢を崩さなかった。全員の共通理解が見えた。

「金監督は、求めることがわかりやすいですね」

 最終節に出場の標準を合わせ、調整を続ける豊田陽平は、チームの中に起きた変化を語っている。

「ポゼッションは基本ですけど、『まずは縦に早く』というのは言いますし、できる、できないがはっきりしていて......。選手全員をフラットに見てくれるのもいいですね。正しくないならスパッといくし、練習でいいプレーをしていたら評価してくれる。選手の入れ替えだったり、競争力を上げるのもうまいですね」

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