JFA審判委員長が語る「VAR導入が与えるジャッジやプレーへの影響」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

――レフェリーが判定に対して弱気になり、VARに下駄を預けるようなことはないでしょうか。

「ジャッジした後、VARに『念のため確認してください』というのはあるかもしれない。しかし、判定しないで、『どっち?』と尋ねるのはダメです。時間もかかる。VARの役割は、事実を伝え、そしてリコメンド(提案)することです。ジャッジを促すわけではありません。その提案を受けるか受けないかはレフェリーが決めることです。

 逆にいくらリコメンドが入っても、主審は拒否することができます。100%自信を持っているならば。ただし映像を見られてリコメンドされれば、普通は受け入れます。だからVARが入ってきたときには、レフェリーはインプレーでも止めます。で、何があったかを尋ねる。と同時にピッチ上で、『いまVARとコミュニケーションを取っています』という合図を出す。

 正式にVARのビデオを確認することになれば、手で画面のフレーミングを形作る合図をする。そして、レフェリーレビューエリアに行って、確認して、決定して、ピッチに戻り、確認終了の合図(手で画面のフレーミング)を出し、『PKです』、もしくは『PKを取り消します』とする」

――選手からの圧力を受けやすくなるということはありませんか。

「この前、静岡で開催されたSBSカップ(日本U-18、パラグアイ、オーストラリア、静岡県選抜が出場)で、VARをオンラインで実施してみました。オーストラリアは国内リーグ(Aリーグ)でもVARを採用していて、選手の中にはリーグでプレーしている選手がいます。彼らはやります。アクションを起こす。ペナルティエリアの中で何かあったら、VARをアピールする。でも、まだ導入されていない日本とパラグアイの選手は一切やらない。

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