残留ファーストの磐田。持ち味を捨て、腹をくくって勝ち点1奪取 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 たとえ個人の持ち味を殺しても、今はチームとして結果をつかむ必要があるのだろう。チームの共通意識として、その気持ちの強さは見せた。どうにか戦術、戦力の劣勢を補った。

 最後は、総力戦になっている。
 
 リンス、永井謙佑、矢島輝一と、FWを3枚も投入してきたFC東京に対し、磐田はまさに風前の灯火だった。勝ち点1の確保を優先したのだろうが、気持ちまでが守りに入ってしまい、全体が下がる。クリアもクリアにならず、自陣に押しやられてしまう。波状攻撃を受け、決定的なシュートを立て続けに打たれている。

 それでも球際で食らいつき、身体を張った。この気迫が乗り移ったかのように、GKカミンスキーがどうにかピンチを救った形だ。

 スコアレスドロー。どちらのチームが勝ち点1を拾ったのかは明らかだった。

 磐田は執念を見せた。13位に順位を下げたものの、降格圏とは勝ち点4差をキープしている。残りは2試合。次がホームでコンサドーレ札幌、そして最終節はアウエーで連覇が決まった王者、川崎フロンターレと戦う。

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