元MVPは伊達じゃない。横浜FCレアンドロ・ドミンゲスが止まらない (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 岡山の長澤徹監督は、なかば呆れたように語る。

「レアンドロ・ドミンゲスは攻守が切り替わるときに、(岡山守備陣の)視野ギリギリに隠れて(パスを受けて)起点になり、(横浜FCの)他の選手がそれを探している。横浜FCに(セカンドボールが)こぼれた瞬間に、特殊な能力を発揮する」

 敵将がそう話すように、横浜FCがカウンターへと移った瞬間、レアンドロ・ドミンゲスにボールが入り、前を向ければ、必ずと言っていいほどチャンスが生まれた。相手キーマンへの警戒を最大限に強めていた岡山は、「(自分たちの)攻撃段階からつかまえることを考えていた」が、先に失点したことで、そこまで徹底することが難しくなったという。

 結果、岡山はレアンドロ・ドミンゲスひとりに、面白いようにチャンスを作られることとなった。まさにキレッキレのプレーぶりは、ピッチ上でただひとり、別次元だったと言っても大袈裟ではない。

 レアンドロ・ドミンゲスが柏でプレーしていた当時、FC東京でコーチを務めていた長澤監督は、対戦相手の立場で彼のスゴさを実感しているだけに、「(2014年途中から2015年にプレーした)名古屋グランパスの時はケガもあって活躍できなかったが、見事に復活したととらえている」と、"帰ってきたJ1 MVP"を称える。J1昇格を目指す横浜FCにとって、頼もしすぎる助っ人であることは間違いない。

 ただし、裏を返せば、横浜FCのレアンドロ・ドミンゲスへの依存度が高すぎるのは気になるところ。横浜FCのタヴァレス監督は「なかなか点が入らないときには、彼のよさが出て得点が生まれることもあるかもしれないが、彼ひとりのチームではないと思っている」と強弁するが、試合を見ていれば、チームの命運を背番号40が握っていることは明らかだ。

 とくに昨季J2得点王のFWイバを出場停止で欠いた最近の2試合(第39、40節)は、それが顕著だった。カウンターを中心とした流れのなかでのチャンスメイクはもちろん、FKやCKなどのセットプレーでも、レアンドロ・ドミンゲスの正確なキックが重要な得点源となっていた。

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