ACL優勝の鹿島は頭脳明晰な賢いサッカー。レアルとの再戦に期待 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by AFP/AFLO

 鹿島が最後までパニックに陥らなかった理由は、サッカーの質で相手に上回られなかったことに尽きる。相手の攻撃の大半がパワープレーだったことに、鹿島は逆に安心したという印象だ。勝つべくして勝った順当勝ち。そう言い切っていいだろう。

 いまの鹿島は、自ら崩れることがない、まさに頭脳明晰な賢いサッカーをしている。Jリーグの年間順位では浦和レッズ、川崎フロンターレに続く3位に終わりながらチャンピオンシップを制し、そして開催国枠で出場したクラブW杯で決勝まで上り詰めた2016年シーズンの終盤と似たムードにある。

 マックス値は当時より上かもしれない。ジーコの口利きで入団した外国人選手、セルジーニョがチームにハマり、その彼と2トップを形成する鈴木優磨も2年前とは見違えるほど立派に成長した。

 土居のシャープな動きは健在。左サイドハーフには同様にシャープな動きの19歳の安部裕葵が座る。大柄な外国人選手が苦手とする身長171cmの小兵だ。

 そしてもっとも強力なのは、22歳の日本代表・三竿健斗と、レオ・シルバが組むボランチだ。群を抜くのはそのボール奪取力で、奪ったボールを生きたパスにする展開力も見逃せない。

 そしてSB。西と山本はともに30オーバーのベテランながら、替えが利かない重要な役割を果たしている。業(わざ)師と言うべき西。冷静沈着で賢い鹿島のサッカーを象徴する山本。現代サッカーはサイドバックが活躍したほうが勝つと言われるが、この2人は、それを証明するプレーを見せている。

 センターバックも韓国代表の若手、チョン・スンヒョンの加入でパワーアップした。ロシアW杯後、ケガで戦線離脱していた昌子源のコンディションがもう一段上がれば、鹿島の後方はいっそう安定する。GKクォン・スンテの高い能力は言うに及ばず、だろう。2年目を迎えて日本に慣れたせいなのか、圧倒的な存在感を発揮し、手堅い鹿島のディフェンスリーダーになっている。

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