J1残留に光明。ジョーの献身がグランパスを新たな勝ちパターンに導く (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 W杯による中断が明けた夏場、ベガルタ仙台戦から7連勝を飾ったときに、6試合で12ゴールと大暴れ。現在21ゴールで、得点ランキングのトップに立つ選手ゆえ、相手が警戒するのは当然だ。そのため、各チームは「ジョー封じ」を徹底してきた。

 ゴール前で、ジョーに入るボールはできるだけ遮断し、たとえボールが入っても、ポストプレーを含めて簡単にやらせないように厳しく当たっている。その策はまさに功を奏しており、ジョーのチャンスも、ゴール数も減少。名古屋は複数得点を挙げられなくなり、打ち勝つことができなくなった。

 実際、第26節のV・ファーレン長崎戦でジョーが2ゴールを挙げながら打ち負けて(3-4)以降、第27節の川崎フロンターレ戦から前節の神戸戦までの5試合でジョーのゴールはわずか1。チームも1勝4敗と振るわなかった。"名古屋の失速"はさまざまな要因があるが、各チームの"ジョー封じ"がその主因になっていたことは間違いない。

 シーズン前半、首位を快走していたサンフレッチェ広島が、相手チームのFWパトリックに対するマークが厳しくなって以降、失速していった形とよく似ている。

 ゴール量産にブレーキがかかった理由について、ジョー本人はこう語った。

「自分に対する守備がすごく厳しくなりました。ただ、自分へのクロスなどのボールが減ったとは感じていません。チームはいろんなパターンの攻撃を作れますが、うまくいっていないときは負けてしまいます。

 それに今、自分はいろんな動きを入れながら、チームを"助ける"という仕事をしているので、ゴールから離れてしまう動きが多くなり、チャンスに決められない場面が増えているんだと思います」

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