鹿島がACL制覇へ王手。強さを取り戻した要因はSBの位置取りにあり (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真photo by Sano Miki

 土居はそのさらに外を走る右サイドバック、西大伍の鼻先に縦パスを送る。鹿島らしい展開である。西はグラウンダーのマイナス気味のボールを折り返すと、そこに突っ込んだ安部はスルー。ボールはセルジーニョの足元に収まった。そのポストプレーを受けたレオ・シルバの右足シュートは、ゴールバーを越えノーゴールに終わったが、流れはこの一連のプレーから激変することになった。

 中盤でレオ・シルバと三竿健斗がボール奪取の中心として鋭い反応を見せれば、安部がドリブルでキレのいい動きを見せる。そして土居、西にボールが流れていくと、ペルセポリスはチーム全体として、やりにくそうな表情を浮かべた。

 先制点が生まれたのは、このプレーの10分後(後半13分)だった。

 直前に絡んだ選手も土居と西で、得点者はその前のプレーでシュートを外していたレオ・シルバだった。たとえば、この右サイドハーフ(土居)とサイドバック(西)の関係は、ペルセポリスにはない魅力である。ペルセポリスはひとりひとりのポテンシャルは高いが、連動性は低い。この差が試合を分けたポイントと言えるが、その背景として見逃せないのがサイドバックの位置取りだ。監督の指示が奏功した結果と言える。

 鹿島ペースは続く。後半24分、セルジーニョが決めた追加点では、三竿のプレーが効いていた。ゴール前で胸トラップ。シュートを放つかに見えたが、右前方のセルジーニョに、冷静にパスを流しアシストとした。

 ボールを奪う力もあるが、パス出しのセンスもある。それなりに上背もある。精神的にも安定している。まだ22歳ながら中盤でレオ・シルバと共にチームを支えるこの選手の成長は大きい。

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