2018.11.01

過密日程の鹿島を救った小笠原満男。
伝統を若手に伝える圧巻のプレー

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya photo by AFLO

 これが鹿島アンドラーズの底力か。

 10月31日に行なわれた鹿島対セレッソ大阪。中2日で11月3日にACL(アジアチャンピオンズリーグ)決勝ペルセポリス戦のファーストレグを迎える鹿島は、10月24日に行なわれたACL準決勝の水原三星戦から先発9人を入れ替えて臨んだ。

 リーグ戦出場5試合にも満たない若手選手を数多く使いながらも、後半7分、得意のセットプレーで勝負を決めた。左コーナーキックからプロ2年目の小田逸稀がヘディングで初ゴールを決め、1-0で逃げ切った。

 セレッソ大阪戦にフル出場、勝利に貢献した小笠原満男前半こそ、硬さの見える若い選手がC大阪に押し込まれるシーンもあったが、先制してからは若手選手が躍動した。その原動力となったのが、39歳のベテラン小笠原満男だった。

 両サイドから攻める選手に必ずサポートに入る。攻撃が詰まったら小笠原に一度戻し、そこから再び攻撃の起点となっていた。前線の選手が動き出せば、そこに正確無比なパスを供給しチャンスに結びつける。的確なポジショニングでセカンドボールを拾っていく。そして守備でも、C大阪の攻撃の中心であるソウザにボールが入るとプレッシャーをかけ、ほとんど仕事をさせなかった。若い選手たちが思い切ってプレーできたのは、小笠原の存在があったからだ。

 圧巻は後半37分のシーンだ。C大阪のコーナーキックの直前、前線にひとり残る山口一真に向かって「パスを出すから、こういう感じで走れ」というようなジェスチャーをしていた。

 果たしてコーナーキックのこぼれ球を小笠原がダイレクトで蹴ったパスは、山口の独走を演出した。山口のシュートは惜しくもC大阪のGKキム・ジンヒョンに阻まれたが……。