鹿島のスカウト担当部長は、「安部裕葵に柴崎岳と似たものを感じた」 (8ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――厳しいとわかっている環境へ飛び込めるか、そしてそこでやっていけるか。技術的には魅力があっても、性格的にどうかという部分の判断は難しいですよね。

「先生との信頼関係があれば、正直な話を聞かせてもらえるし、実際選手と話すことでわかる。(安部)裕葵と話したとき、僕のなかでは(柴崎)岳に似たものを感じました。自分を客観視する眼を持っているなって。成長するためには、そういう客観視できる冷静な眼と心が不可欠ですから。あと、プロ向きの性格かどうかというのもありますね。やっぱり、優しすぎる選手はプロの競争のなかでは生きていけない。『こいつを蹴落としてでも俺が』という欲は必要です」

――Jリーグへは行かず、海外のクラブへ入団するなど、選手の選択肢も増えていますね。海外のクラブがライバルになる。

「そういう時代になっていくんじゃないかな。2010年に宮市亮(現ブンデスリーガ2部・FCザンクト・パウリ)にオファーを出したときはアーセナルに負けましたからね(笑)。『やっぱり海外で挑戦したいです』と電話をもらって、そのあと、律儀に鹿嶋まで挨拶に来てくれて。『こういう世界だから気にするな』って言ったのに、本当に真面目な男。そのときはまだアーセナルに決まったわけじゃなかったけど、ヨーロッパで挑戦したいと、わざわざ伝えに来てくれたんです」

(つづく)

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