鹿島のスカウト担当部長は、「安部裕葵に柴崎岳と似たものを感じた」 (7ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――安部裕葵選手は、インターハイで数試合見て、オファーを出されたんですよね。

「視野が広くて、タッチのリズムが独特で、一目見て気になりました。でも、ちょうど、同じポジションで別の選手にオファーを出していて、それが断られたタイミングでした。あっちに断られたから、次はこっちというのは、本当に失礼なこと。だから先生にすべてを打ち明けたうえで話をさせてもらったら、『これも縁ですから』と言ってくれました」

――隠し事はしない。

「しない。嘘も言わない。すべてを正直に話す。ずっとそうやってきました。だから、いかに厳しい競争が待っているのかとか、もっとこういうところを伸ばすべきだ、ここが足りないからプロになったら苦労もあるよと、はっきり言います」

――すぐに試合に出られるというような甘い言葉はない。

「出られないと断言はしないけれど、出られると保証することは一切ないですね。だけど、厳しい環境のなかで絶対に引っ張られて、成長できる。そうすれば、2年後、3年後には主力に絡む選手になる。そんなベースを持つ選手だと信じて声をかけさせてもらっているわけですから」

――言葉は悪いかもしれませんが、あとは自分次第ということですね。

「『鹿島から声をかけてもらっただけで、自信になります』と言ってもらえることもあった。そのうえで、『すぐに試合に出られるチームへ行きたい』と断られることもあります」

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