3バックで降格圏脱出の名古屋。風間監督がシステムより重視するもの (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Etsuo Hara/Getty Images

「名古屋はボールを叩いて、ランニングして、横パスの連続。そこを食いつかせて狙ってくる感じだった。ゾーンで守り切れたと思うが......」(柏・DF鈴木大輔)

 35分だった。左サイドのタッチライン際で起点を作った後、玉田が戻るドリブルからジョーとスイッチ。ジョーはエリア内のシャビエルに預け、シャビエルがこれを前に持ち出し、左足でクロスを送る。逆サイドから中に入った前田が、中央で合わせた。人とボールの動きがたえず交錯し、柏の守りを完全に崩した、サッカーのお手本のようなゴールだった。

 その後、ホームで負けられない柏は、戦う意欲を見せる。単発では好機も作った。しかしながら、序盤のような攻勢は生まれていない。相次ぐ監督交代が影を落としていた。主力選手の経験によって、どうにか試合にしているのが現状なのだ。

 一方の名古屋は、シーズン前半は連戦連敗だったが、風間監督のプレーモデルで戦ってきた。ジョーへの依存はあるにせよ、その積み上げがあることで、3バックという新戦術も運用できる。それは残留の保証にはならないが、選手が成長を続けているのは間違いない。

「守備のためにポジションを崩してしまっては、攻撃にならないので」

 試合後に風間監督は何気なく語っていたが、まるで優勝を争っているチームの指揮官のように、堂々とした口ぶりだった。


3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る