3バックで降格圏脱出の名古屋。風間監督がシステムより重視するもの (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Etsuo Hara/Getty Images

 名古屋は、前節から採用する3-4-3(3-4-2-1)というシステムのネガティブな面が出ていた。両ワイドに前田直輝、青木亮太という選手を配置しているが、2人は攻撃的性格が強い選手で、バックラインに入ったときはむしろ脆さが出る。

 今や世界的に見直されている3バックは、「幅」がキーワードになっている。幅を取ることで相手を広げ、生まれたスペースを使い、前に手数をかけ、圧倒する。しかし受け身に回ると弱く、幅の綻びを突かれるのだ。

「序盤は、相手が勢いを持って入ってくるのはわかっていた。そこをいなし、自分たちの時間をもっと増やせるように、意識のレベルをトレーニングから上げていかないといけない」(名古屋・風間監督)

 前半20分を過ぎると、柏の猛攻がぴたりと止んだ。

 失点を免れた名古屋は、トップに入った元ブラジル代表FWジョーが、DFとMFのラインの間にポジションを取り、ボールを収め、失わない。これで柏のラインを徐々に押し下げる。ジョーに絡みつくように、ガブリエル・シャビエル、玉田圭司、前田らが攻撃の波を作る。高い位置でプレーを続けられるようになったことで、サイドからこつこつとダメージを与え、3バックのポジティブな面が出るようになった。

「(受けに回ってからは)幅を取られて、ジョーに深みを作られました」(柏・大谷)

 25分、名古屋は左サイドを軸に幅を作って揺さぶりをかける。横パスをペナルティエリアの少し外で受けたジョーがターン。このとき、エリア内には6人もの名古屋の選手が入っていた。ジョーはエドゥアルドネットに横パスを預け、マークをさらに引き寄せる。ネットはエリア内でフリーになった小林裕紀にパス。小林のシュートはGKに弾かれたが、名古屋の攻勢は明らかだった。

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