鹿島で優勝する術を学んだ山本脩斗。
「満男さんがそれを示してくれた」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

――この企画で鹿島アントラーズについて訊くと、「勝つことへのこだわりが強いチーム」という話になりますが、今季のリーグ戦で勝てない試合も多く、そのこだわりについての言葉を空しく感じることもありました。

「結果が伴わないと、いくら口で言っても説得力がないというのも事実ですが、鹿島はそこから逃げるわけにはいかないし、それを持ち続けなければいけない。だからこそ、サポーターからの要求の高さを日々感じているし、引き分けでブーイングになることもある。でも、勝利することが自分たちの責任であり、担っているものの重さを鹿島でプレーするこの4年間で痛感しています。確かにプレッシャーはあるけれど、それも鹿島アントラーズの一員としては当然だと思っているし、それによって自分が成長できていると感じているんです」

――リーグ戦では現在、3位に浮上しました(10月7日時点)。天皇杯、ACLもありますが、今季のタイトル獲得へ向けて、どんなふうに感じていますか?

「リーグ戦もまだ可能性は残っているし、ACLを含めたカップ戦も優勝が手に届く位置にあります。とにかく、ひとつひとつ、目の前の試合を勝ちとっていくことによって、自信を得ることで、先に繋がっていくから、続けていくしかないと思います。勝つことで、その経験が来季にも繋がっていくだろうし、やっぱり優勝して頂点に立つことは大きいですから。若い選手にとっても、優勝を経験できることで得られるものはたくさんあります。僕は移籍2年目の2015年にナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)で優勝できたことで、その喜びを知り、『また優勝したい』と思えるようになりました」

――優勝したい、そのためにどうすべきかを知ることができる。

「そうですね。勝ちきるという試合をしながら、90分間どう戦わなければいけないかを学べました。2015年ナビスコカップ決勝のとき、(小笠原)満男さんが、最初の開始10分、20分間で、それを示してくれたんです。今でもその姿や雰囲気、オーラは覚えています。それこそ強い気持ちというのを教えてくれた。試合に出ないと感じられないものなんだと僕は思ったし、決勝の舞台に立ったからこそ味わえた体験です。そういう意味でも、下の世代の選手に、それを見せなくちゃいけないし、その舞台に立つチャンスをクラブとして作らなくちゃいけない。言葉で伝えるというよりも、そういう経験を共に味わえるよう、ここから先も勝ち続けなくてはいけないと思っています」

――勝利でしか伝えられない経験があるということですね。

「このクラブにいる限りは、勝利を求められているし、僕自身もそれを求めていくつもりです」

椎本邦一の証言へつづく>>

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