J2首位陥落の大分。攻撃力は伊達じゃないけど3失点の守備が残念 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「自分たちが慌てました。パス、ポジショニングが少しずつ違って、はめられてるな、と感じて。うまくいかない日というのはあるんですが......」(大分・馬場)

 戦線が間延びし、悪循環だった。後半はわずかシュート1本に終わっている。

 63分には、相手に自陣でスローインを与え、エリア内に投げ込まれると、ロメロにキープされた後、反転されて利き足でシュートを打たれ、逆転を許す。守備の強度が足りなかったことは明白だった。

 結果は3-2。優勝を争うにもかかわらず、22チーム中10番目に失点が多いチーム、という現実が出た。

 拮抗した勝負にケリをつけたのは、もうひとつ別の要因があったかもしれない。

「このゲームに際しては、(首位攻防戦ということで)ひとりひとりの鼻息が試合前から荒かった。そこで(気持ちが強すぎて)全体の連動が合わなくて......。でも、その鼻息を抑えたくはなかった」

 町田の相馬直樹監督はそう振り返っている。

「前に出る意思を尊重したかったんです。若さ、甘さ、と思われるかもしれないが、自分たちはそういうチームを作ってきた。前重心で戦い、点を取る。そこで足を止めていたら、(前半のうちに)追いつけなかったかもしれません。それは、失うものがないという自分たちの状況もあるかもしれませんが......」

 町田は首位を争うものの、現状ではJ1のクラブライセンスが与えられていない。すなわち、優勝してもしなくても、規則上は昇格できない。目標を見失いそうになる可能性も大いにあるなか、ここまで誇り高く戦ってきたことが勢いになっている。

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