J2首位陥落の大分。攻撃力は伊達じゃないけど3失点の守備が残念

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「(相手の)町田は粘り強く戦い、(ゴールも)仕留めた。一方、我々は甘さというかスキもあって、チャンスを作りながらものにできなかった。決めるべきところで決められない、守るべきところで身体を張れず......」

 試合後の記者会見。大分トリニータの片野坂知宏監督は、冒頭でこう述べている。そこに、首位攻防の一戦が凝縮されていた。大分は首位らしい力強さを示した一方で、J2優勝、J1昇格に向けて脆さも見せることになった。

 10月14日、町田市立陸上競技場。J2で首位を走る大分は、暫定で6位のFC町田ゼルビアと優勝戦線を戦っている。町田は2試合少なく、首位奪還も射程距離に入る。上位チームは混戦だけに、大分は敵地でも勝ち点を稼ぐ必要があった。

 大分は序盤、試合のペースをつかむ。町田が特長であるプレッシングを武器に押し包んできたのに対し、見透かしたように逆サイドや裏に有効な配球をする。相手がケガや出場停止で主力を数人欠いたのもあったが、ボールをつなげる練度の高さは見せた。とりわけ、左FWに入った馬場賢治は、卓越したボールキープを見せ、前線で起点になっている。ボールを持ち出す推進力も高く、決定的なパスを味方に送った。

大分トリニータの攻撃の起点となっている馬場賢治大分トリニータの攻撃の起点となっている馬場賢治 J2屈指の攻撃力は、伊達ではなかった。しかしながら、伊佐耕平がGKとの1対1のチャンスをたて続けに外すなど、ゴール前で不発。そのツケが回ってくる。

 前半16分、町田は右CKでペナルティエリアの角に短いグラウンダーのパスを入れる。そこにはロメロ・フランクがフリーで待っていた。右足ダイレクトで、ニアサイドの上に鋭く蹴り込んだ。

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