山本脩斗の鹿島加入時の逸話。「強化部も僕をよく知らなかったと思う」 (2ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

 公式戦9戦負けなし。4つの大会で戦っている鹿島に久しぶりに黒星がつくかと思ったアディショナルタイムでの犬飼の同点弾。その勢いのまま、追加点を狙おうと前へ出た。しかし、ゴールを決め切れず、相手ボールに。そこからの横浜のカウンター攻撃を阻止しようとしたプレーでファールを取られた。鹿島の選手が抗議したがジャッジが覆ることはない。ゴール前のFK。曽ヶ端準が止めるが、こぼれた球を押し込まれ、95分勝ち越し弾を許してしまう。もう時間は残っていなかった。 試合終了を告げる笛が鳴る。

「僕自身のミスで負けたのは事実。最低、引き分けることができた試合を負けている」と曽ヶ端は悔いた。

 ピッチを後にする審判団の元へ遠藤康が向かい言葉を発したが、レフリーが足を止めることはなかった。無視された形の遠藤が下げた両手を力なく広げた。10月7日に行われたJリーグ川崎フロンターレ戦に続き、レフリングにストレスを感じる試合だったことが伝わってきた。

 しかし、それでも、負けた事実は変わらない。「決められるところで、ゴールを決め切れなかったら、こういう結果になる」と内田。当然の結果だったのかもしれない。

「もったいないっちゃ、もったいない試合だった。次は点を獲らなくちゃいけない。わかりやすくていいんじゃないかな。2点くらいなら獲れる実力は持っていますし、切り替えてやるだけかなと思います。けが人も多いけれど、ここからまた一致団結して向かっていきたい」

 そう言って遠藤は前を向く。中3日で第2戦を迎える。2点差以上で勝てば、決勝へ進める。ズルズル後退するわけにはいかないことは、選手誰もがわかっている。

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