2018.10.11

スペインの師匠が弟子のリージョを語る。
「彼には特別な能力がある」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

「プロの世界は、どうしても勝ち負けがある。負けたときというのは、感情をコントロールするのが難しい。とてもナーバスになってしまう。『なぜなんだ!』『もっとやれたはずなのに、理不尽だ』と平常心を失い、怒りをぶつけ、愚痴をこぼす。しかし、監督はそこで乱れてはならない。チームの士気を下げず、たとえ勝てなくてもやり続ける。優れた監督はまず、『自分には必ずできる』と信じることができる」

 結果が出ない試合が続くリージョだが、それを乗り越えるだけのパーソナリティがあるという。不動心、あるいは平常心。常にフラットな心理状態で、粛々とチームを強化することができる。

「私はファンマをプロの監督として評価する。彼は(2017年に)コロンビアの王者アトレティコ・ナシオナルを率い、リーグ戦でもカップ戦でもタイトルを取ることはできなかった。しかし、『いい仕事ができた』と胸を張っていた。ファンマはこれまで多くのチームを率いてきたが、結果だけを見れば成果をあげたとは言い難い。にもかかわらず、関わったほとんどの人からその仕事を賞賛され、オファーは絶えない。そこに監督としての本懐がある」

 リージョはポゼッションを手段とし、試合を支配し、ゴールする確率を高める。そのために必要なトレーニングで、選手の成長を促す。選手たちはその指導に納得し、勝ち負けにかかわらず充実感を覚えるという。現役時代にリージョのチームと対戦したジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)は、試合後、教えを乞いに向かったほどだ。