スペインの名伯楽の戦術講義。「50cmいる場所が違うだけで差が出る」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 プロサッカー監督に求められる最大の資質とはなにか?

「PASION DE APRENDER」(学ぶ情熱)

 ミケル・エチャリ(72歳)は端的にそう答えている。

 スペイン人指導者エチャリは、ヴィッセル神戸を率いるフアン・マヌエル・リージョを筆頭に、多くの監督たちを指導者養成学校で教えてきた。現在は、名誉職的なバスク代表監督(FIFA未公認だが、今年10月にはベネズエラ代表と対戦する予定で、少なくとも年に一回は活動している)を務め、世界各国から講演、講義に招待されている。人格者だけに、国内の刑務所から呼ばれ、服役囚に対して「サッカーを通じた人生」について語ることもある。

指導者向け講習会の講師として来日したミケル・エチャリ指導者向け講習会の講師として来日したミケル・エチャリ「指導者養成学校で、私は活溌な議論を好む。議論することで、教える方も得られるものがある。語り合うことで、ディテールを突き詰めていく。それには、もっと学びたい、という熱意が必要になる。"オレはすべてを知っている"という人間は、監督としてやっていくのは難しいだろう」

 つい先日、エチャリは日本サッカー協会にも、指導者向け講習会の講師として招かれている。そこでは「ハイプレスのかけ方」や「リトリートした相手の崩し方」などの戦術講義を行なった。

「日本にも、とても熱心な生徒がいた。運営面もすばらしい。マイクの精度などセッティングのひとつひとつが......」

 数々の選手や指導者に影響を与えてきたエチャリにとって、名将とはいかなるものだろうか。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る