鹿島が「らしさ」を取り戻した。初のアジア王者へ一歩前進 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ファイナル進出に弾みをつける劇的な勝利だったのは間違いない。しかし、第2戦に向けて不安がないわけではない。

 ふたつのアウェーゴールを失ったことはもちろん、第2戦が行なわれるまでの3週間、鹿島は横浜F・マリノスとのルヴァンカップの準決勝2試合をこなし、リーグ戦では川崎フロンターレ、浦和レッズと難敵とのゲームを控える。すでにハードスケジュールを強いられるなかで、心身ともに負担のかかる戦いが続く。

 それでも、今の鹿島には説明のつかないような強さが備わっている。リーグ、ルヴァンカップ、天皇杯、ACLと、4つのコンペティションをこなしながら、公式戦7連勝を達成。昌子源ら主力に故障者を抱えながらも、破竹の勢いを備えている。

 試合後、殊勲の内田は次のように語っている。

「普通、0-2はひっくり返せない。相手のミスに助けられた結果だと思う。普通なら負けだったけど、そのなかでも負けない。勝ち癖がついてきたのはよかった」

 それは本来、鹿島が備えている「勝者のメンタリティ」と呼べるものだろう。らしくないスタートを切りながら、らしさを取り戻した一戦だった。国内最多タイトルホルダーが、いまだ手にしたことのないタイトル=アジア王者に向けて、また一歩前進した。

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