2018.10.04

鹿島が「らしさ」を取り戻した。
初のアジア王者へ一歩前進

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかし、「喧嘩上等」の水原のスタイルを、鹿島は黙って受け入れていたわけではない。スイッチが入ったのは、20分の場面。ロングパスを出した安部裕葵がアフター気味に危険なチャージを受けて倒されると、鹿島の選手たちのギアが高まったように見えた。

 直後の21分、球際の攻防を制し、こぼれ球にも鋭く反応したセルジーニョのクロスに、鈴木優磨が臆することなくゴール前に飛び込む。これがオウンゴールを誘発し、鹿島がようやく反攻体制を整えたのだ。

 後半に入ると、鹿島の攻勢はさらに強まった。三竿健斗を起点としたパスワークでポゼッションを高め、鹿島の特長であるサイド攻撃の頻度も増加。右サイドバックの内田も高い位置を保ち、相手のサイドを押し込んでいく。

 一方で水原には、前半のような激しさが失われていた。疲労による部分もあっただろうが、後方を分厚くし、ボールを奪えば少ない人数で攻めていく。つまり、リードを保つために、守りに入ったのだ。

 押し込みながらも、決定的な場面までは作れない。鹿島にとってはもどかしい時間が続く。しかし、この膠着状態を打ち破ったのは、大岩剛監督の積極采配だった。

 72分、ボランチを1枚削り、トップ下に土居聖真を投入する。3点目を失えば、第2戦に向けて致命傷になりかねないなかで、鹿島はあくまでリスクを背負い、前への姿勢を打ち出した。

 実際に後方が手薄となったことで、カウンターを受ける危険性は高まっていた。しかし、そのリスクを冒すことが大きなリターンを生んだ。84分、途中出場の西大伍のクロスをセルジーニョが合わせて同点に追いつく。賭けに勝った鹿島は勢いを増し、逃げ切り策を図った水原はこの1点で完全に意気消沈した。

 87分には同じく交代出場の安西幸輝の強烈なミドルがポストを叩き、90分にはセルジーニョがオーバーヘッドでゴールを狙う。押せ押せムードのなか、その3分後に内田の決勝ゴールが生まれたのは、もはや必然の流れだった。