内容がいい分、たちが悪いレイソルの現状。J1残留へ打つ手はあるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 わかりやすいのが、得点だ。下位に低迷するチームというのは、得てして得点できずに苦しむものだが、柏の場合、点は取れている。無得点試合となると、第23節のジュビロ磐田戦までさかのぼらなければならず、この浦和戦でも2点を奪っている。

 ボールポゼッションでは浦和に上回られながら、カウンターから先制。逆転されたあとも2点目を奪い、一度は追いついているのだ。

 実際、DF鈴木大輔は「チームの雰囲気は悪くない」と語っている。

 今夏、ヒムナスティック・タラゴナ(スペイン)から移籍し、3年ぶりに柏に復帰した鈴木は、現在のチーム状態をニュートラルな視点で見ることができる選手だと言っていい。そんな鈴木から見ても、今の柏は「レイソルの歴史を知るベテラン選手がまだいっぱいいて、若い選手も多く試合に出ているなかで、互いにコミュニケーションを取ってやれている」という。

 加えて、この夏に加入した新戦力には、鈴木も含め、頼もしい顔ぶれが並ぶ。なかでも頼れる助っ人が、FWオルンガである。この夏、ジローナ(スペイン)から移籍加入したケニア代表ストライカーは、浦和戦で先制ゴールを挙げているが、それ以上に、後半53分のプレーがスゴかった。

 なかば苦し紛れに蹴り出されたロングボールを、浦和のDF槙野智章と競り合いながら力強く体をぶつけてキープすると、今度は一転、柔らかなターンで体を入れ替えて抜き去り、最後は左足から浮き上がるような強烈なシュートを放った。

 あいにくシュートはGK正面だったため、得点にはならなかったが、一連のプレーはまさに驚愕もの。最前線に立つこの怪物に、FWクリスティアーノ、江坂任、伊東純也、瀬川祐輔らが、2列目からうまく絡めば、ある程度得点できるメドは立つ。

 降格危機という暗いトンネルにも、すでに光は差している。そう見ることは可能だろう。

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