清水エスパルス、残留争いから脱出。
「しぶとさ」もたらす2トップの力

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「やられた感じはそれほどない。ただ、ショートカウンターで先制され、守りを固められてしまうと、厳しくなる」

 FC東京の選手が洩らしていたのは、率直な感想と言える。失点も、一瞬の隙を突かれた形だったからだ。

 しかし逆説的に言えば、清水はその「点」で優って勝ち点を稼いでいる。選手が局面において、勝てないまでも負けない。そこで金子、白崎が2トップと連係し、攻撃を完結する形だ。

 ロシアW杯後に入団したブラジル人FWドウグラスの存在は、やはり絶大だろう。FC東京戦ではPKでダメ押しとなる2点目を決め、10試合で7得点の荒稼ぎ。PKを奪ったシーンに象徴されるように、パワー、スピード、したたかさという点で、Jリーグでは傑出している。

 金子と並ぶチーム最多9得点の北川も、今や若きエースの感がある。その得点センスと執念は日本代表の岡崎慎司に近いだろう。反応が俊敏で、とにかく足を振れる。

 この夜、2トップのゴールで勝利した清水は、暫定で9位に浮上。降格圏の16位とは7ポイント差となった。風雲、急を告げるような雨は、試合後には収まっていた。

「今日は自分たちのやり方がはまった」

 清水の選手たちは上気した顔で話した。会心の勝利だっただろう。しかし次節は、ジュビロ磐田との静岡ダービー。気の抜けない試合が続くことになりそうだ。

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