中村俊輔が、F・マリノスの「新エース」天野純に対して発したひと言 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO

 翻(ひるがえ)って、天野は後半、ほとんど消えていた。後半35分にはベンチに下がって、尊敬する"元エース"の目の前で成長の"爪痕"を残すようなことはできなかった。

 試合後、天野は「コンディションが最悪だった」と吐露し、疲れ切った表情でこう続けた。

「今日は試合ができるコンディションではなかった。(前節の)浦和レッズ戦以降、体が重くて、動けないし、走れない。監督にも話をしたんですが、原因がわからない......。とにかく、今後も試合が続くので、しっかりコンディションを整えて、自分のプレーができるようにしていきたい」

 それでも、中村との対戦は意識していたという。"元エース"のプレーは、天野にとってはさすがに刺激的だったようだ。

「やっぱり、シュンさんは怖かった。常に危険なところにいるし、危険なプレーをしていた。とくに後半は、攻撃の中心になっていた。僕も、相手に危険なプレーヤーと思われるようなプレーをしないといけない、とあらためて思いました」

"新旧エース対決"において、後半は力の差を見せつけられたが、チームが残留争いの渦中とあって、勝ち点3が取れたことは、天野にとって救いだった。

「自分のプレーは、動けないので、ぜんぜん(ダメ)でしたけど、チームが勝ててよかった。今日の勝ちは残留争いをしている身とあっては、非常に大きいですね」

 天野は最後にホッとした表情を見せて、バスの中に消えていった。

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