中村俊輔が、F・マリノスの「新エース」
天野純に対して発したひと言

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO


中村俊輔はF・マリノスの新エース・天野純をどう見ていたのか中村俊輔はF・マリノスの新エース・天野純をどう見ていたのか その代表戦から、2戦目となるジュビロ戦。「中村俊輔の後継者」と言われる天野が、その中村本人を敵に回して、どんなプレーを見せられるのか。それは、日本代表を経験した天野の"現在地"を推し量るうえで、もっともわかりやすい"物差し"になると思われた。

 だが、この日の天野の出来は今ひとつだった。いつもより動きが少なく、ボールに触れる回数も少なかった。戦術的に相手のボランチの背後にポジションを取って、ジュビロの攻守の要であるMF田口泰士とMF山田大記をけん制。ふたりを前に上がらせないことに尽力していた、という意味では仕方がない部分もある。

 実際、天野は「ボールが(自分に)入ってこなくても、その(敵ボランチの背後の)ポジションに粘り強くいるようにしていました」と、自らを犠牲にしてチームの戦いを優先していた。そのため、前半は相手ボランチの稼動が鈍り、ジュビロらしい攻撃は見られず、中村もほとんど目立たなかった。

 だが後半、名波浩監督からの檄が飛び、FW川又堅碁とDFエレンを同時投入したジュビロは息を吹き返した。中村も、中央から前後左右へと自在に動き回って、両サイドにボールを散らしてチャンスを作った。後半23分、川又の同点ゴールも、右サイドのスペースを突いたDF櫻内渚への、中村のサイドチェンジから生まれた。

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