「今」を生きる41歳・冨田大介は「一度も引退を考えたことがない」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 そして、そうやって何かにチャレンジしようとする自分がいる限り、また目の前のある"壁"に全力で向き合い、乗り越えていくことを『楽しい』と思えているうちは......まだまだ現役をがんばれそうな気がします」

 そんなふうに、今も前を向いて戦い続けられるのは、今回で3度目の在籍となる水戸への思いもある。プロとしてのキャリアをスタートさせた1度目、J1を経験したうえで在籍した2度目。そして今回とでは、チームの一員として戦うことへの責任も、クラブへの想いも明らかに変化していると、冨田は言う。

「僕が水戸でプロになったときは、水戸もJ2に昇格したばかりで、正直J1にはほど遠い場所にいたし、そこから約10年後の2013年に水戸に戻ったときも、チームはJ1昇格を目指していたけれど、現実的にクラブは、J1ライセンスが取得できる体制ではなかった。

 でも、そこからさらに時間が進んだ今は、練習場やクラブハウスもできて、チームとしても、クラブとしても、明確にJ1昇格を目指していますから。その水戸に再び呼んでもらった以上、当然、J1昇格の力にならなければいけないと思っているし、そう思えばこそ、以前は自分にしか向いていなかった矢印も、今はしっかりと"チーム"に向けられるようになった。

 だから実際、たとえ試合に出られなくても、少しでも水戸の力になれるように、J1昇格というクラブが掲げる目標の一助となれるように、ということを頭に描いて行動したり、発言したりできているんだと思います。と同時に、それがこの年齢でも僕を必要だと獲得してくれた、クラブへの恩返しでもあると思っています」

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