スペイン帰りの鈴木大輔は、残留争いの柏レイソルをタフな信念で救う (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

「12、13くらいのチャンスを作ることができた。もっと決定率を高められたら......」(清水/ヤン・ヨンソン監督)

 一見して、鈴木ひとりの力ではどうにもならないチームのちぐはぐさだった。

 お家芸であるはずのパス回しもタメがないために読まれやすく、簡単にプレスをはめられる。それを回避しようと、精度が低くなったところでボールを失う。その準備もできておらず、またも各自が場当たり的に奮闘するしかない。

 チームとしてのデザインが見えず、ことごとく後手に回っていた。 

「大輔さんとも話しながら、何とかしようとはしましたが......。あれだけ(前で)自由にボールを持たれてしまうと、やはり後ろとしてはきついところはありますね」(柏・DF中川創)

 52分には鈴木がCKをヘディングで跳ね返すが、オフサイド崩れからエリア内でボールを受けられ、2点目を叩き込まれている。清水の波状攻撃を受け止めきれない。

 柏は、攻撃陣が個の力で、どうにか2点を返したものの、セットプレーから高さの差を見せつけられ、連係も乱れて3失点。2-3というスコア以上の差があった。

 敗れた柏は、ついに降格圏の16位に転落した。

「最後は足をつりそうでしたが、何とかやれました。試合勘は、今日でだいぶ戻った。身体も作り直して、ひとつひとつ始めるつもりです」

 試合後、鈴木は敗戦の悔しさを押し殺すような眼差しで語った。結局、先発として90分間、プレーした。

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