「常勝」の面影はなし。宮本ガンバに足りないのは「戦力」ではない (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 立ち上がりから、ガンバは後手に回っている。3-4-2-1のような布陣だが、最終ラインがズルズルと下がり、綻びが埋まらず、とくにサイドのギャップを使われてしまう。前半12分の失点も、左サイドで遠藤渓太の独走を許し、ニアに走り込んだ伊藤翔に簡単に合わせられ、ボールがポストに跳ね返ったところを仲川輝人に詰められた。すなわち、3人が3人、ゴール近くでほとんどフリーになっていたのだ。

 ディフェンスが正しく機能していない証左だった。

 前半20分には、高いラインの裏を易々と突かれている。スピードのある仲川に走り込まれ、GKが飛び出したところで足を引っかけてしまい、やらずもがなのPKを与えた。DFとGKの呼吸が悪く、なによりパスの出し手の出どころを抑えられていない。

 各ラインの距離感も悪かった。DFラインに引っ張られ、MFラインが吸収されてしまう。FWラインだけが前線に残って、戦線が伸びきったところを分断され、中盤を席巻されている。ポジション的に不利に立っていた。

 前線に人が残っているだけに、いったん押し込むことができれば、優位に戦えるのだろう。アデミウソンのように、個人で打開できる選手も擁する。そこでセットプレーを得ることで、得点も望める。優れたキッカーもヘディングの強い選手も多いだけに、川崎フロンターレ戦(9月1日、2-0で勝利)などは、まさにそこが勝負のカギとなった。

 押し込まれながらも人海戦術で守り、カウンター一発(もしくはセットプレー)を浴びせ、勝ち点は稼げる。

 しかし、そうした場当たり的な戦いに、選手は消耗する。試合終盤の失点が多いのは、まさにロジックが確立していないからだろう。これは17節までチームを率いていたブラジル人、レヴィー・クルピ監督の無策のツケとも言えるが......。

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