J1昇格へ。東京Vのスペイン人監督が
こだわる「ボールの出口」の作り方

  • 小宮良之●文 text by Komoya Yoshiyuki photo by Etsuo Hara/Getty Images

「(ガンバ大阪から夏に移籍してきた泉澤)仁はJ2レベルでは突出したプレーヤーです。本来は先発起用すべきところですが、今日はあえてベンチに置きました。なぜなら、チームとして反発力となる選手をベンチに残しておく必要がありましたから」

 59分、泉澤は切り札として交代出場している。そして70分だった。エリア内でボールを受けると、DFの間隙を縫うようなシュートを流し込んだ。ロングボールから左サイドでウィングバックが幅と深みを作ると、MFとDFラインの間に入った泉澤の動きは巧みで、シュート精度も高かった。

 そして、この追加点が大きく物を言うことになる。

 横浜FCも戸島章、齋藤功佑と、交代出場選手が攻撃のインテンシティを高め、81分にイバが1点を返している。彼らも打つ手は打った。しかし、前半のツケを返しきれなかった形だろうか。

 最後は消耗戦の末、ヴェルディが勝利した。順位は暫定で3位の横浜FCと同勝ち点の4位に上げている。残り10試合、仕上げの段階に入る。

「チームは自信を深めつつあります」

 ロティーナは不敵な面構えで言っている。

「いいトレーニングをしていれば、いいプレーができる、というのが我々の信条です。チームは個人としてもグループとしても改善を見せ、毎日、要求は高くなっています。これから必要になるのは、同じ集中力で、相手をリスペクトして戦えるか。いつも主導権を握られるものではありません。そこで屈することなく、強いディフェンスを見せ、次の攻撃に備える。攻守は一体なんですよ」


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