福田正博が熱弁。「トーレスが本領発揮するための打開策がある」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Getty Images

 G大阪戦では、トーレスからのパスを受けた金崎夢生がゴールを決めているが、この一連の流れも権田からトーレスへのパスが起点だった。トーレスがヘディングで競って、金崎にボールが渡り、金崎からのリターンパスを受けたトーレスが、ふたたび金崎にパスを出してシュート。攻撃の形がGKからのフィードというのは、トーレスにとってはフラストレーションが溜まる状況といえる。

 そうした場合、チームや味方選手を批判するケースもあるものだが、得点が取れない原因を押し付けられた側はいい気はしないし、それではチーム状況は好転しない。

 その点、トーレスは、どんな状況にあっても他人を責めたりはせず、冷静に状況を受け入れて、できることを最大限やろうとしている。受け答えも紳士的で、常に周囲をリスペクトしている。

 これは誰かを責めれば、最終的に自分に跳ね返ってくることを知っているからだ。そうした彼の真面目さがピッチでのプレーのすべてに出ているし、その姿は鳥栖の選手たちに、トーレスにもっと点を取らせたいと思わせるものだ。

 トーレスがもっと輝くためには、「トーレスの足もとにつけるパス」が打開策になると私は思っている。チーム状態が悪く、トーレスにいい形でボールが入らないし、入ってもサポートが遅く、なかなかシュートに持ち込めなかった。

 さらに、ほとんどのハイボールをトーレスがヘディングで競り合っているイメージがあるくらい、彼へのパスは頭を狙ったロングボールが多い。たしかに彼の身長は186cmと高く、リーグ戦初ゴールもクロスからのヘディングだったが、トーレスの最大の持ち味は、DFラインの裏に抜け出すスピードや駆け引き、ゴール前のフィニッシュワークにある。へディングだけの選手ではないからこそ、彼の足もとにスパっと入るパスがもっと増えれば、彼のストライカーとしての迫力も増していくはずだ。

 ここからシーズン終盤にかけて気候は涼しくなっていく。また、秋冬制度の欧州リーグで長く活躍してきたトーレスにとって、コンディションを上げていくのはこれからということもある。

 体力的にきつい暑い夏の連戦で、トーレスは献身的に走ってきており、夏場の疲れが出る可能性も否めないが、パフォーマンスはこれからよくなってくるはずだ。そのとき、ストライカーとしての天賦の才を存分に発揮するトーレスが見られることを期待している。

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