イニエスタの前でJ1初ゴール。17歳久保建英が「廊下」で開けた「扉」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by YUTAKA/AFLO SPORTS

 結局、久保はその後、後半19分に交代で退いている。しかし、この得点が決勝点につながった。

「ほとんどの時間、何もさせなかった。でも、あの一度を決めるというのは、"持っている"ということなのかもしれない」

 神戸の選手たちは唇を噛んでいる。

 久保は17歳らしさを見せたといえるだろう。ひとりのプロ選手としては、まだ未成熟な部分があり、力づくで封じ込まれてしまうところはあった。各ゾーンで求められるプレーを満たせず、守備のインテンシティも低く、流れから消えた。イニエスタのように、相手の逆を取り続ける、そんな境地にも達していない。プロ選手とのプレー経験が圧倒的に足りていないのだ。

 そのせいで、守備ありきのFC東京では「前を向いてボールを持ったら面白いが......」と、出場機会が限られたのだろう。

 しかし、期待のルーキーの底知れなさも見せた。たったの1回であっても、このレベルで偶然に決まるシュートはない。適切な判断を下し、予備動作で勝っていた。バルサでは伝統的に、久保のポジションは得点力が求められるが、なによりシューターとしての才能が傑出しているのだ。

「(久保は)プレーの質の高さは見せた。若い選手の成長を見られるのは楽しい」

 ポステコグルー監督は試合後の会見で、そう言って及第点を与えている。

 冒頭の続き、久保はイニエスタとの対戦について、こう言葉を継いだ。

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