2018.08.27

イニエスタの前でJ1初ゴール。
17歳久保建英が「廊下」で開けた「扉」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by YUTAKA/AFLO SPORTS

 試合後のミックスゾーンで立ち止まった17歳は、いくつものテープレコーダーを口もとに近づけられ、浴びせられた質問に、神妙な面持ちで答えていた。決勝点を奪った高揚感を沈めるように、落ち着いて淀みがなかった。

「(先発デビューも)緊張はしなかったです。むしろ、それがよくなかったかもしれません」

 彼は淡々とそんな自己分析もしている。しかし一瞬、口ごもる場面があった。

――イニエスタ選手との対戦で得点できたわけですが。

「えっと……」

 17歳は、適当な言葉を探して数秒うつむいた。

ヴィッセル神戸戦でJ1初ゴールを決めた久保建英(横浜F・マリノス) 8月26日、ノエビアスタジアム神戸。アンドレス・イニエスタの熱狂に沸くスタジアムは、満員御礼が出ている。バルサの選手として世界を魅了したイニエスタのプレーは、異次元にあるのだ。

 一方、神戸に乗り込んだ横浜F・マリノスには、バルサの下部組織であるマシアで薫陶を受けた日本人、久保建英がいた。17歳の久保はFC東京から移籍してきたばかりで、初の先発。イニエスタとの「スペイン対決」と、話題が先行した見出しが躍った。

 前半から、”先輩”イニエスタが格の違いを見せつけている。クリアしたボールをダイレクトのボレーで狙う。3人に囲まれながらも、軽々とパスを出す。わざとテンポを外したパスを出すことで、ディフェンスの逆をとり、スルーパスを通してしまう。どのゾーンにいても、プレースピードの変化が自在で、横浜FMの選手たちを手玉に取った。